収益不動産:購入

【収益不動産:購入編④】購入前に知っておきたい収支シミュレーションの基礎|NOI・キャッシュフロー・減価償却をやさしく解説

takuya.fujikawa

2026年4月3日:初版

はじめに:「何となく儲かりそう」では危険です

「表面利回り10%だから良さそう」
「家賃収入が◯万円あれば返済も大丈夫そう」

こうした“なんとなく”の感覚で物件を購入すると、あとで「思ったよりお金が残らない…」という結果に直面することになります。

不動産投資においては、購入前にどれだけ正確な収支シミュレーションができるかが成否を分ける最大のポイントです。

この記事では、初心者の方にもわかりやすく、収益不動産の収支シミュレーションで使う3つの基本指標(NOI・キャッシュフロー・減価償却)を解説します。

シミュレーションの基礎①|NOI(Net Operating Income)

NOIとは「純収益」のこと

NOIとは、物件の賃料収入から運営にかかる経費を差し引いた「本当の収益」のことです。

NOI = 年間賃料収入 − 運営経費(管理費・修繕費・固定資産税など)

ここで差し引く運営経費には、以下が含まれます:

  • 共用部管理費・清掃費
  • 固定資産税・都市計画税
  • 修繕費・雑費
  • 火災保険料など

NOIは、物件の「収益力」を評価するもっとも重要な指標です。

NOIの例

  • 年間家賃収入:600万円
  • 管理費・修繕費・固定資産税など:年間150万円
  • → NOI = 600万円 − 150万円 = 450万円

この450万円が、ローン返済や手残りの原資になります。

シミュレーションの基礎②|キャッシュフロー(CF)

最終的に「手元に残るお金」を示す

NOIからローンの返済(元本+利息)を差し引いたものが「キャッシュフロー(CF)」です。

CF = NOI − 年間ローン返済額

最終的にどれだけ現金が残るか、つまり「生活や再投資に使える利益」を表します。

CFの例

  • NOI:450万円
  • ローン返済額(元本+利息):年間300万円
  • → CF = 450万円 − 300万円 = 150万円

つまり、毎年150万円の黒字。これが現実的な利益です。

シミュレーションの基礎③|減価償却と税引後利益

不動産投資の“節税メリット”のカギ

減価償却とは、建物の価値が時間とともに減っていくとみなして、経費として計上できる制度です。

実際には現金の出費はないのに「帳簿上の経費」として利益を圧縮できる=節税につながります。

減価償却の計算例(概算)

  • 建物価格:2,000万円
  • 構造:木造(法定耐用年数22年)
  • → 年間減価償却費 = 約90万円(定額法)

 ▶ 所得税や住民税を抑えることができるため、キャッシュフローを維持しながら節税できる点が大きな魅力です。

減価償却は期間に注意

構造ごとの耐用年数:

構造耐用年数
木造22年
軽量鉄骨27年
RC(鉄筋コンクリート)47年

中古物件の場合、残存年数から計算されるため、築年数が経過していると短くなる点に注意

ケーススタディ|収支シミュレーションで「買ってはいけない物件」を見抜けたDさん

背景:
Dさん(40代・副業投資家)は、表面利回り10.5%の築古アパートに興味を持ち、即検討へ。

精査内容:

  • 管理費・修繕費が高く、NOIは実質5.9%
  • ローン返済を加味するとCFは毎年30万円弱
  • 減価償却は短期間で終了予定(築28年の木造)

判断結果:
▶ 長期保有には向かないと判断し、見送り
▶ 後日、築浅RCマンション(利回りは低いがCF安定)に切り替えて投資成功

よくある質問(FAQ)

Q1. シミュレーションは自分で作れますか?

A. エクセルなどを使えば作成可能です。
最近は無料の不動産投資シミュレーターもありますが、初期段階では不動産会社に相談してプロの意見をもらうのが安心です。

Q2. 減価償却は法人でも同じように使えますか?

A. はい、法人でも使えます。
むしろ法人の場合は減価償却の自由度が高く、節税メリットが大きくなりやすいです。

Q3. キャッシュフローがプラスでも購入していいとは限らないの?

A. 必ずしもそうではありません。
将来的な修繕費、金利変動、空室率の変化など“外的要因”も加味した上で、慎重に判断しましょう。

まとめ|数字が見えると、不安がなくなる

収益不動産は、感覚ではなく「数字」で判断する投資です。
そしてその数字は、「NOI」「キャッシュフロー」「減価償却」の3つが柱になります。
• どのくらい儲かるのか?
• どれだけ現金が残るのか?
• 税金はどこまで抑えられるのか?

これらを購入前に明確にしておくことで、迷いなく判断でき、後悔のない投資につながるのです。

次回予告

第5話では、「融資を引くために知っておきたい金融機関の評価ポイント」と題して、物件・属性・自己資金に基づく“融資通過”のリアルな判断基準を解説します。

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