【収益不動産:購入編⑥】物件購入時のデューデリジェンス|失敗しないための調査項目とは?
2026年4月10日:初版
はじめに:「現地を見た」だけでは不十分
「現地を見て、外観も綺麗だったし…」
「レントロールもそこそこ整ってたし、問題なさそうかな」
——そんな感覚で購入してしまい、後からトラブルや思わぬ出費に悩まされるケースは少なくありません。
収益不動産は、「現物不動産」かつ「投資商品」であり、購入前の調査=**デューデリジェンス(適正調査)**が不可欠です。
本記事では、収益物件を買う際にチェックしておくべき「現地・書類・法務・人」それぞれの視点から、初心者が見落としやすいポイントを丁寧に解説します。
デューデリジェンスとは?|意味と目的を整理しよう
不動産版「事前健康診断」
デューデリジェンスとは、直訳すると“適正な精査・確認”という意味です。
不動産取引では「購入前に行う、リスクや問題点の調査・評価」として用いられます。
目的:
- 隠れたリスクの把握
- 今後の収益性を冷静に判断する材料を得る
- 売買価格が妥当かどうかを見極める
▶ 目先の数字や印象に惑わされず、“数字の裏側と物件の本質”を見抜くための作業です。
失敗を防ぐための4つの調査視点
① 現地・建物調査(フィジカル面)
- 外壁・屋根の劣化状況(ひび割れ・錆など)
- 共用部の清掃状況(ゴミ置場・ポスト・階段など)
- 給排水設備やメーター周りの老朽化
- 雨漏りや水漏れ痕、浸水リスクエリアかどうか
ポイント:
▶ 自分の目で「不安材料がないか」を確認することが大切です。
▶ 必要に応じて、建物インスペクション(建物診断)を依頼するのも有効です。
書類調査(ファイナンス面)
- レントロール(入居者一覧・家賃・更新日など)
- 修繕履歴・点検記録(消防・エレベーターなど)
- 賃貸借契約書の内容(敷金・契約種別・特殊条項)
- 滞納者の有無や過去の退去率
ポイント:
▶ 「現状の家賃が継続して入ってくるか」を見極める資料です。
▶ 書類に不備がある場合は、その理由も確認をしましょう。
③ 法務・権利関係の確認
- 登記簿謄本の確認(所有者・抵当権・借地権など)
- 用途地域・建ぺい率・容積率
- 違法建築や増改築の有無
- 接道義務(再建築可否)/私道・共有持分の状況
ポイント:
▶ 「将来的な運用・売却が可能かどうか」を見極めるための情報です。
▶ 専門家(司法書士・不動産会社)との連携も重要です。
④ 人(売主・管理会社・入居者)
- 売主が誠実か(資料の提示・質疑への対応)
- 管理会社の対応状況(報告書・修繕履歴・入居者対応)
- 入居者の属性(年齢層・滞納履歴・更新率)
ポイント:
▶ 「人」にまつわるリスク(管理放棄・入居者トラブルなど)も、投資判断に直結します。
ケーススタディ|デューデリジェンスでトラブルを未然に防いだFさんの場合
背景:
都内で築25年の1棟RCマンションを検討していたNさん。
利回り・立地ともに申し分なく、一見“掘り出し物”に見えた。
調査結果:
- 修繕履歴がまったく管理されておらず、給排水設備が老朽化
- レントロールに記載ミス(家賃・契約期間)多数
- 接道が法定幅員に満たず、再建築不可であることが判明
判断:
▶ 専門家のアドバイスを受け、購入を見送り
▶ 数ヶ月後、同価格帯で条件の整った築浅物件を購入し、安定運用中
よくある質問(FAQ)
Q1. 書類が不足している場合はどうしたらいい?
A. 売主や管理会社に理由を確認し、代替資料の提出や現地確認で補完できるかを検討しましょう。
不誠実な対応が続く場合はリスクが高いと判断してよいです。
Q2. 自分で全部調べるのは大変では?
A. すべてを自力で行う必要はありません。
信頼できる不動産会社・管理会社・司法書士・税理士とチームを組んで調査を進めることが重要です。
Q3. デューデリジェンスの費用は誰が負担する?
A. 基本的には買主負担です。
建物インスペクションや測量・登記確認などには数万円〜数十万円かかることもありますが、それ以上の損失リスクを防ぐための“保険”と考えるべきです。
まとめ|“見えること”より“見えにくいこと”を見抜く力を
収益不動産は、見た目や利回りだけでは判断できません。
本当に重要なのは、購入前にどれだけ深く調べられたか=デューデリジェンスの精度です。
- 外観や資料の裏にある“不安要素”を見つけること
- 収支の真実や、法的リスクを把握すること
- 信頼できる関係者と共に確認し合える体制をつくること
こうした調査がしっかりできていれば、購入後に慌てることはありません。
次回予告
第7話では、「管理会社選びが収益のカギを握る|委託先の選び方とは?」と題して、投資後の運用を左右する“管理会社選定の基準と注意点”を解説していきます。



