【収益不動産:売却編③】売却時に注意したい「税金」対策|譲渡所得と節税ポイントをやさしく解説
2026年5月16日:初版
はじめに:「売れたあと」に気づく税金のインパクトとは?
「ようやく売却できた!想定より高く売れて良かった!」
そう思ったのも束の間、後日届いた税理士の見積書を見て思わず絶句——
「えっ?こんなに税金を払うの?」
これは実際にあった話です。
収益不動産の売却では、譲渡所得税という税金がかかるため、「売った金額=手取り利益」とは限りません。
しかも、所有期間や売却時期によって税率が変わるなど、やや複雑なルールがあります。
初心者ほど見落としがちなのが、この「税金の落とし穴」です。
この記事では、初めて収益物件を売却する方でも分かるよう、税金のしくみと、今からでもできる節税対策を丁寧に解説します。
そもそも「譲渡所得税」とは?
不動産の売却益にかかる税金
不動産を売って利益が出た場合、その「利益(=譲渡所得)」に対して課税されます。これが譲渡所得税です。
具体的には、
譲渡所得 = 売却価格 −(購入時の価格+諸費用)
ここで差し引かれる「購入時の価格+諸費用」には、以下が含まれます:
- 購入時の物件価格(建物・土地)
- 仲介手数料
- 登記費用・司法書士報酬
- 不動産取得税
- 設備・リフォーム費用 など
所有期間で税率が変わる「長期/短期」ルール
譲渡所得税の最大の特徴は、所有期間によって税率が変わる点です。
| 所有期間 | 税率(所得税+住民税) |
| 5年以下(短期譲渡) | 約39.63% |
| 5年超(長期譲渡) | 約20.315% |
※所有期間は「売却した年の1月1日時点」で判断します。
つまり、たった1日でも5年を下回ると税率が倍近くになるため、売却のタイミングが大きなポイントになるのです。
知っておきたい節税の基本テクニック
① 売却タイミングの調整
所有5年をギリギリで下回る場合は、売却を翌年にずらすだけで大幅な節税になる可能性があります。この差は何十万〜数百万円単位になることも。
特に、法人保有や個人保有の切り替えがある場合は、さらに注意が必要です。
② 必要経費を正しく把握・計上する
譲渡所得を正しく計算するには、「取得費」「譲渡費用」「減価償却費」などを適切に計上する必要があります。
忘れがちなのが以下の項目:
- 取得時の仲介手数料
- 固定資産税の清算金
- 解体費用(更地売却の場合)
- 長年のリフォーム費用
▶ 領収書・契約書の保管が節税に直結するため、書類の整理は早めに行いましょう。
③ 損益通算や繰越控除の活用
売却時に赤字が出た場合、その損失を他の所得と通算(損益通算)できる場合があります。
また、赤字を翌年以降に繰り越して税金を軽減する「繰越控除」も活用できます。
▶ ただし、これらは確定申告が前提となるため、申告のタイミングも非常に重要です。
ケーススタディ|所有5年の境界線で大きく差が出たケース
背景
神奈川県の築22年RCマンション(1棟)を所有していたBさん。売却額は7,800万円、購入額は5,200万円。
当初計画
2025年12月に売却予定 → 所有期間:4年11ヶ月
アドバイスを受けて調整
→ 税理士の助言で2026年2月にずらし、5年超での売却に変更
結果
▶ 譲渡所得税が約640万円 → 約330万円に軽減
▶ わずか2ヶ月の違いで300万円以上の節税に成功
よくある質問(FAQ)
Q1. 譲渡所得は自分で計算できますか?
A. 概算なら可能ですが、正確な計算は専門知識が必要です。
特に減価償却や取得費の算定が複雑なため、不動産に詳しい税理士への相談をおすすめします。
Q2. 法人名義と個人名義で税金はどう違う?
A. 法人名義の場合は法人税が適用され、減価償却や損金計上が可能です。一方、個人は譲渡所得税になります。税率・控除・計算方法すべて異なるため、売却前に名義と税制の違いを整理しましょう。
Q3. 複数物件を一括で売却した場合、税金の扱いはどうなりますか?
A. 原則として物件ごとに譲渡所得を計算しますが、同一名義で同時期に譲渡した場合、通算できる場合もあります。詳細は税理士と確認しましょう。
まとめ|「売った後に後悔しない」ための税金対策を今から
収益不動産の売却では、いくらで売れるかよりも、いくら手元に残るかが重要です。
そしてその差を生むのが「税金」です。
所有期間、売却タイミング、必要経費の整理——
いずれも今日からできる準備ばかりです。売却後に慌てないためにも、今のうちに「税金対策」という視点を持っておくことが、成功の第一歩です。
次回予告
第4話は、「収益不動産売却でありがちな失敗とその回避策」をテーマに、初心者がやりがちな落とし穴と、それを避けるための具体策を解説します。



