
不動産の購入検討している方であれば、住宅ローン減税を上手に活用して節税効果を高めてマイホームを購入したいと考えている方は多いのではないでしょうか?
住宅ローン減税を利用すれば、本来納めるべきであった住民税・所得税が控除されて、税制面でお得に住宅を購入できます。
従来の住宅ローン減税から控除率の引下げや、年収による適用条件が厳しくなり、更新によって住宅ローンの内容が借入者にとって不利に働く場面もあるので確認が必要でしょう。
今回の記事では、住宅ローンおける減税・控除制度の改正内容について解説していきます
Contents
そもそも住宅ローン減税とは?
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入することで「住民税」「所得税」が控除される税制面で優遇を受けられる制度です。住宅購入者は必ず利用を検討するでしょう。
旧制度では年末の住宅ローン残債から1%の税金控除が受けられました。
そのため、超低金利(0.3%~0.9%)で住宅ローンを借りられていた方であれば、住宅ローンを借りていた方がお得にマイホームを購入できる状態でした。
出典:フラット35「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)」
住宅ローン金利の相場 | 金利相場 |
---|---|
変動金利 | 0.3%〜1.0% |
固定金利 | 0.7%〜2.0% |
上記のデータからも、住宅ローン金利は歴史的な超低金利時代を迎えており、変動金利であれば0.3%程度で住宅ローンを借りられ、旧制度を利用すると割安で住宅が購入可能でした。
旧住宅ローン減税制度で住宅を購入するには、2021年11月30日を契約期限とし、2022年12月31日までにマイホームへの入居がわかることが条件でした。
これからマイホームを購入する・建築したい方にとって、改正内容や改悪状況などは気になる方は多いのではないでしょうか。

2022年住宅ローン控除の改正内容について
出典:国土交通省
住宅ローンの改正におけるメイントピックスは「控除率」が1%から0.7%(ー0.3%)への変更についてでしょう。
旧制度 | 新制度 (22年〜23年入居) |
|
---|---|---|
控除率 | 1% | 0.7% |
残高上限額 | 4000万円 |
【一般住宅】 【省エネ住宅】 【ZEH水準省エネ住宅】 【長期優良住宅】 【低炭素住宅】 |
期間 | 10年 |
13年 |
1年の最大控除額 | 40万円(一般住宅) |
【一般住宅】 【省エネ住宅】 【ZEH水準省エネ住宅】 【長期優良住宅】 【低炭素住宅】 |
最大控除額 | 400万円(一般住宅) |
【一般住宅】 【省エネ住宅】 【ZEH水準省エネ住宅】 【長期優良住宅】 【低炭素住宅】 |
住宅ローン減税の制度自体の適用延長
今回の改正によって本制度における適用期間は2025年(令和7年)までとなり、マイホーム購入者にとっては住宅ローン減税制度を利用した購入プランの検討に余裕が生まれました。
住宅産業は日本の景気を動かす大きな市場であるため、マイホームを建てることには政府も後押ししてくれています。

住宅ローン減税の控除率の大幅引下げ|1% →0.7%
住宅ローンの魅力とも言える税制控除額は今回の改正によって、控除率:1.0%から0.7%へ大きく引き下げられ、魅力も大きく減少したように見られます。
控除率の減少は控除額の減少に直結しています。今回の改悪によって住宅ローン控除額は大きく減少されることが予想できます。
控除率 | 旧制度 | 新制度 |
---|---|---|
一般住宅 | 1% | 0.7% |
長期優良住宅・低炭素住宅 | 1% | 0.7% |
ZEH水準省エネ住宅 | 1% | 0.7% |
省エネ基準適合住宅 | 1% | 0.7% |
その他の住宅 | 1% | 0.7% |
出典:国土交通省 「住宅ローン減税等の住宅取得促進策に係る所要の措置(所得税・相続税・贈与税・個人住民税)」
年末の住宅ローン残債が3000万円の場合、従来の控除額は30万円、新制度の控除額は21万円となり差額も大きく生じていることがわかるでしょう。

住宅ローン控除期間の延長
一方で、住宅ローン減税期間の延長は延長され、「10年」から延長され「13年間」となりました。しかし、延長によって最大控除額が上昇することはありません。
控除率1.0%→0.7%の引下げによる、改悪イメージを少しでも減少させたり、住宅ローン減税制度による減税効果の減少を少しでも緩やなイメージにするための改正でしょう。
旧制度 | 新制度 (22年〜23年入居) |
|
---|---|---|
控除率 | 1% | 0.7 |
期間 | 10年 |
【新築】13年 【中古】10年 |
最大控除額 | 400万円(一般住宅) |
【一般住宅】 【省エネ住宅】 【ZEH水準省エネ住宅】 【長期優良住宅】 【低炭素住宅】 |
2019年の消費税緩和における税制優遇措置によって、控除期間が13年間になっていたので、現状維持という印象が受けられる改正でしょう。
住宅ローン減税における借入上限額の減額
借入上限額とは住宅ローンの控除額を算出するための住宅ローン年末残債の計算上の上限額のことで、借入上限額×税率(新制度:0.7%)で控除額が決定できます。
例えば、年末の住宅ローン借入残高が「3000万円」の場合には、3000万円×0.7%で「21万円」が節税額が算出可能です。
借入上限 | 旧制度 | 新制度 (2022-2023) |
新制度 (2024-2025) |
---|---|---|---|
認定住宅 | 5000万円 | 5000万円 | 4500万円 |
ZEH | 4000万円 | 4500万円 | 3500万円 |
省エネ基準 | 4000万円 | 4000万円 | 3000万円 |
その他住宅 | 4000万円 | 3000万円 | 0円 |
中古住宅 |
【認定住宅】 【その他住宅】 |
【認定住宅】 【その他住宅】 |
【認定住宅】 【その他住宅】 |
改正により借入金額の上限が「4000万円」から「3000万円」に減少、受けられる控除の金額が減少したことがわかります。
2024年以降には段階的に引き下げが予定されているので、マイホームを検討している方であれば、住宅ローン減税の適用タイミングについても考慮しつつ検討するといいでしょう。

住宅ローン減税の年収による適用制限
住宅ローン減税の適用を受けることが可能な人の要件として、年収の引き下げが実施されました。
【旧制度】 | 【新制度】 | |
---|---|---|
適用年収 | 3000万円以下 | 2000万円以下 |
出典:国土交通省
旧制度の住宅ローン減税では高所得者に対して優遇が大きかった一方で、今回の改正によって中間所得者層に対しての優遇制度であることがより明確化されました。

住宅ローン減税における新築物件の床面積要件の緩和|50㎡→40㎡
2023年までに建築確認された新築物件であれば、床面積40m2以上で住宅ローン減税が適用される緩和措置がとられました。
これにより、都内の極めて狭い土地の住宅やマンションにおいても幅広く住宅ローン減税を適用できる可能性が増えました。
【旧制度】 | 【新制度】 | |
---|---|---|
床面積 |
50㎡ | 50㎡ |
備考 | 床面積「40㎡以上50㎡未満」については、合計所得金額が1,000万円以下の年のみ適用。 | 新築の場合、2023年までに建築確認:40㎡(所得要件:1,000万円) |
住宅ローン減税における中古物件の築年数の緩和
中古住宅における築年数も緩和措置が実施され、昭和57年(1982年)以降に建築された住宅(築年数40年)が適用対象になりました。
旧制度では、鉄骨コンクリート造・築年数25年以内、木造住宅の非耐火住宅であれば築20年以内と建物種別ごとに条件があり適用が困難でした。
住宅ローン減税 | 旧制度 | 新制度 |
---|---|---|
中古住宅の条件 |
・耐火建築物 築25年以内 ・非耐火住宅 築20年以内 |
築40年以内 |
出典:国土交通省 「中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」
住宅ローン減税の改正による控除額の差について
今回の住宅ローン減税の改正では住宅ローン控除率の減少や新築住宅・中古住宅における環境性能における優遇が大きな変更点でした。
一般住宅の借入金額上限が4000万円から3000万円に引き下げられたことで、これから一般住宅でマイホームの購入を検討している方は改正における税制優遇を上手に受けられなくなってしまうでしょう。
最大控除額の変化 | 旧制度 | 新制度 (2022-2023) |
新制度 (2024-2025) |
---|---|---|---|
控除率 | 1% | 0.7% | 0.7% |
期間 | 10年 | 13年 | 13年 |
認定住宅 | 500万円 | 455万円 | 410万円 |
ZEH | 400万円 | 410万円 | 319万円 |
省エネ基準 | 400万円 | 364万円 | 273万円 |
その他住宅 | 400万円 | 273万円 | 0円 |
中古住宅 |
【認定住宅】 【その他住宅】 |
【認定住宅】 【その他住宅】 |
【認定住宅】 【その他住宅】 |
上記の表からも最大控除額の価格は旧制度・新制度の「その他住宅」の差が大きいです。
新制度に移行後、2022年から2023年に住宅を購入するとおよそ127万円の節税効果の違いが発生し、2024年以降に建築確認申請をする一般住宅には住宅ローン節税効果が0になります。
住宅ローン減税の新制度と旧制度のシミュレーション
新制度の住宅ローン減税では年収が中間層に位置しているような家計であると、住宅ローン減税効果を強く享受することが可能です。
そこで、シミュレーションを通してどれくらい住宅ローン控除が減少してしまったのかを確認していきましょう。
住宅ローンシミュレーション | 旧制度 | 新制度 |
---|---|---|
建物種類 | 一般住宅 | 一般住宅 |
借入金 | 4000万円 | 4000万円 |
借入日 | 1月1日 | 1月1日 |
借入金利 | 0.5% | 0.5% |
住宅ローン借入上限額 |
4000万円 |
3000万円 |
控除率 | 1% | 0.7% |
最大控除額 | 40万円 ※4000万円×1% |
21万円 ※3000万円×0.7% |
控除額合計 | 336万円 | 265万円 |
上記のシミュレーション結果からも、住宅ローン減税の改正によって控除額合計は71万円もの差が生じています。
しかしながら、住宅ローン減税はマイホーム購入希望者にとって、強力な節税対策であることは変わりなく、シミュレーションからも265万円もの節税対策が期待できることがわかります。

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また、一般住宅(省エネ住宅・長期優良住宅以外)を検討している方は、節税効果が大幅に減少しています。
しかし、住宅ローン減税の適用期間は現状2025年までの期間限定制度です。上手に使ってマイホームをお得に買える機会であることは間違いないでしょう。
まとめ|住宅ローン減税改正により省エネ機能が高い住宅へ
今回の住宅ローン減税の改正によって、省エネ機能が高い住宅への節税効果が高くなり、一般住宅希望者や高所得者への優遇措置が小さくなりました。
住宅の購入は一生に一度となるような大きな買い物ですが、これを機に住宅の購入を検討することも1つの考え方としていいかもしれません。
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