
近年日本でも注目されている「FIRE」。仕事をすることなく資産運用による利益によって生活する「経済的自立」のことを指し、日本でも「FIRE」を目指す人は増えてきています。
しかしながら、世間一般的な人であれば「FIRE(経済的自立)」を達成できる人は少なく、FIREはほんの一握りのお金持ちにしか縁のない話であると考える人も多いでしょう。
FIREについて検討している方であれば、FIREを達成するためにはどうすればいいのか、資産運用はどのようにしていけばいいのかと感じる人も多いでしょう。
今回の記事では、FIREについてや、FIREのメリット・デメリットについて解説していきます。
Contents
FIREとは?英語訳|Financial Independence, Retire Early
FIREとは英語表記で「Financial Independence, Retire Early」(早期経済的自立)と呼ばれ、頭文字の「F、I、R、E」を取ったものです。火を意味する「FIRE」とは異なります。
FIREは経済的に自立することにより、会社や社会に縛られることなく、経済的にも自由に生活できる状態、生活スタイルのことです。
- 「Financial」・・・・経済的
- 「Independence」・・自立
- 「Retire」・・・・・・リタイア(退職)
- 「Early」・・・・・・早期的
FIREは欧米諸国ではじまったムーブメントではありますが、日本でも近年注目されており、投資家や起業家、30代・40代でFIREを狙ったり、達成したりしている人たちが現れています。
FIREをするためには?
FIREをするためには、大きく2つの方法が考えられますが、どちらにせよ多くの資金が必要になってきます。
FIREをするためにはどうすればいいのかと検討している方はぜひ2つの方法を比べてどちらがベストな方法かを考えましょう。
- 25年間分の資産が必要|約7,500万円
- 年利4%の利息で生活|4%ルール
年間支出の25年間分の資産が必要|約7,500万円
年間支出25年間分の資産があれば、その後の25年間の仕事や生活支出を考えなくても生活ができるという方法が1つです。
具体的に25年間の総支出は人それぞれ異なりますが、「総務省」が公表している家計調査2021年(令和3年)平均によると、消費支出は1世帯あたり235,120円となっております。
上記の結果をもとに、25年間分の総支出を計算すると、「70,536,000円」となり、一般的に言われている25年間分の総支出7500万円とも近い値になっています。

ちなみに、25年後は大丈夫なのかと感じる方もいるかと思いますが、7500万円を引き続き資産運用していくことも考えた結果になっています。
年利4%の利息で生活|4%ルール
FIREのもう一方の考え方は、資産運用の運用利益で生活していくことで「不労所得」の利益のみで生活が可能になる考え方です。
こちらの場合においても、総務省の平均消費支出をもとに考えると、投資元本7000万円の4%、280万円が投資利益による「不労所得」となり、毎月23.3万円程度利用ができます。
上記計算上からも投資資金7000万円があれば、一般的な家庭において「FIRE」を達成、経済的に自立し豊かな生活を過ごせることになります。
出典:SBI証券 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
実際に上記の「三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」では、直近1カ月のトータルリターンは9.59%となっております。
日本ではインフレ率2%を目標とした国ですが、インフレ率を考慮した形でも現実的な投資リターン数値であると考えられます。
FIREのメリット
FIREのメリットは「働かないで暮らしていける」というのが印象に強いと思いますが、FIREを目指す努力をすることによって多くの金融知識を身につけることが可能です。
FIRE達成を目標にしている方や興味がある方は、ぜひFIREのメリットを確認して、FIREを目指していきましょう。
- 働かない自由を手にできる
- 住む場所も自由にできる
- 少ないお金でも暮らせるようになる
働かない自由を手にできる
「FIRE」のメリットでまず考えられることとして、「働かない」という自由な選択肢が手に入るということです。
厚生労働省によれば、使用者は原則として1日8時間、1週間に40時間を法定労働時間と定めており、これに準ずると、月に160時間の自由時間が生まれてきます。
1日の自由時間 | 1カ月の自由時間 | |
---|---|---|
FIRE達成前 |
16時間 | 544時間 |
FIRE達成後 | 24時間 | 720時間 |
※1カ月30日として算出
上記の計算からも、FIRE達成によって自由な時間が増えて、好きなことをできる時間・好きな人と会える時間が増えるため、生活の幸福度が上がることが簡単に予想できます。
住む場所も自由にできる
「FIRE」達成後には、仕事によって縛られていた住む環境も自由に選択することが可能です。
FIRE達成前には都内に住み・仕事をしなければならなかった人も多いかもしれませんが、「FIRE」を達成することにより、「住む場所」も自由になります。
少ないお金でも暮らせるようになる
FIREを目指す過程で、「倹約スキル」が高まり生活水準を落とすことなく生活支出を下げることができるでしょう。
また、同時に金融知識(マネーリテラシー)が向上し、生活する上で、無駄な支出や満足度の低い買い物を避けられるようになります。
FIREを目指す中での「倹約スキル」「金融知識」は今後生活していく上でも大切なスキル・資産となるでしょう。
FIREのデメリット
FIREを目指すことで、「金融知識(マネーリテラシー)の向上」、実際にFIREを達成することでの「生活の自由度の向上」が期待できます。

FIREを達成すること自体にデメリットなどないと感じる方の方が多いと思いますが、一般的に言われている「FIREのデメリット」についても押さえておきましょう。
- 社会復帰が難しい
- 4%ルールが維持できない年もある
社会復帰が難しい
FIRE達成後に社会復帰をしたいと考えても、一度味わってしまった「FIRE」の生活環境から社会復帰することが難しいと言われています。
働かなくても生活していける「不労所得」があると感じると、人間誰しもが嫌な職場・嫌な仕事から避けてしまいます。
現在であれば、FIREを達成した方のブログ・YouTubeは数多く存在しています。そんな方々のメディアを参考にしてFIRE達成を目指している方にとって有益な情報を発信している人は多いでしょう。
FIRE達成者の方であれば、「働かない自由」を最大限に活かした「好きなことを仕事にできる」という目線で社会復帰が可能です。
4%ルールが維持できない年もある
先ほど解説した「FIRE達成の条件」として、投資資金の4%内で生活していく「4%ルール」がありますが、年によっては「4%ルール」が維持できない可能性もあります。
例えば、2020年に起こった「コロナショック」では、多くの株価に大きな悪影響を及ぼし、株価は大暴落を起こしました。
出典:SBI証券 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
全世界株式(オール・カントリー) | 基準価格 | 純資産総額 |
---|---|---|
2020年2月21日 |
12,241円 | 18,078百万円 |
2020年3月24日 | 8,102円 | 15,944百万円 |
上記のような経済的ショックによって、資産運用による「4%ルール」を維持できなくなってしまう可能性も考えられます。
そのためにも、投資家として資産運用スキルを高め、さまざまな資産へ分散投資し(リスク分散)、手持ちのキャッシュ(現金)を持っておくことの重要性を考えておく必要があります。

FIREの種類
ここまでで、FIREのメリット・デメリット、達成するための条件・方法について解説してきましたが、FIREによって完全にお金からの不安を「ゼロ」にするのは難しいと感じたのではないでしょうか。
平均的な消費支出23万円を「不労所得」で賄うだけでも、「7000万円」程度の資産が必要になり、一般的な人であれば、難しいと感じるでしょう。
FIREの種類について理解することで、自分がどのような生活になる近づけるのか、どのようなFIREの形が適しているのかを知ることが可能です。
- Fat Fire(ファットファイアー)|贅沢なFIRE
- Lean Fire(リーンファイアー)|倹約なFIRE
- Barista Fire(バリスタファイアー)|働く頻度を落とすFIRE
Fat Fire(ファットファイアー)|贅沢なFIRE
「Fat FIRE」では生活支出を「不労所得」で賄うのと同時に、「贅沢支出」までも「不労所得」によって賄う贅沢なFIREのことです。
月間消費支出 | 必要な年間総支出 | 4%ルールで必要な 投資元本 |
---|---|---|
30万円 | 360万円 | 9000万円 |
35万円 | 420万円 | 1億500万円 |
40万円 | 480万円 | 1億2000万円 |
45万円 | 540万円 | 1億3500万円 |
50万円 | 600万円 | 1億5000万円 |
60万円 | 660万円 | 1億6500万円 |
65万円 | 720万円 | 1億8000万円 |
23万円(平均値) | 276万円 | 6900万円 |
総資産額1億円を超えてくると、一般的に「富裕層」「超富裕層」と呼ばれるお金持ちになってきます。野村総合研究所のデータによると「富裕層」は総資産保有額1億円以上5億円未満と定義しています。
出典:野村総合研究所 「純金融資産保有額の階層別に見た保有資産規模と世帯数」
上記のデータから算出すると、「富裕層」「超富裕層」は全体の2%程度しかいないことがわかります。
「Fat FIRE」は非常に夢のある生活ですが、一般的な収入である人の場合には多くのリスクを取らなければ達成できないでしょう。
Lean Fire(リーンファイアー)|倹約なFIRE
「Lean FIRE」では、生活支出を最低限に絞ることによって、限りなく生活支出を下げて「不労所得」で賄うFIREのスタイル。
「Lean FIRE」では、総務省が公表している平均的な消費支出よりもさらに生活支出を落とせれば、人によっては達成できることもあるでしょう。
月間消費支出 | 必要な年間総支出 | 4%ルールで必要な 投資元本 |
---|---|---|
9万円 | 108万円 | 2700万円 |
10万円 | 120万円 | 3000万円 |
11万円 | 132万円 | 3300万円 |
12万円 | 144万円 | 3600万円 |
13万円 | 156万円 | 3900万円 |
14万円 | 168万円 | 4200万円 |
15万円 | 170万円 | 4500万円 |
23万円(平均値) | 276万円 | 6900万円 |
年間120万円の生活支出であれば、投資元本「3000万円」を4%ルールに乗っ取り資産運用できれば良いので、FIREの可能性があると感じる人も多いでしょう。
純金融資産3000万円〜5000万円(アッパーマス層)の世帯数は、野村総合研究所によれば、全体の13%程度となってくるので、不可能ではない数値になってきます。
Barista Fire(バリスタファイアー)|働く頻度を落とすFIRE
「Barista Fire」では仕事から完全に離れることはせずに、仕事における「責任」「出勤頻度」を落とすことによって仕事に縛られる時間を減らしていくFIREの形です。
そもそも「FIRE」の本質的な意味は、「豊かな時間・生活を増やす」ためにあります。そのため、仕事によって奪われていた時間を資産所得によって賄おうというスタイルです。
投資元本 | 4%ルールによる 資産所得 |
副業による収入 | 年間合計 |
---|---|---|---|
500万円 | 20万円 | 240万円 | 260万円 |
1000万円 | 40万円 | 240万円 | 280万円 |
1500万円 | 60万円 | 240万円 | 300万円 |
2000万円 | 80万円 | 240万円 | 320万円 |
2500万円 | 100万円 | 240万円 | 340万円 |
3000万円 | 120万円 | 240万円 | 360万円 |
3500万円 | 140万円 | 240万円 | 380万円 |
働く頻度・責任を落とすことで、自分の強みを活かした副業しつつ、資産形成によって着実に資産所得を増やしていく生き方となり、多くの方々に再現性が高いFIREのスタイルとなるでしょう。
FIREを目指すためのおすすめの資産運用について
FIREのさまざまな方法・生活スタイルを知ることで、自分にもできそう、実現の可能性があると感じて興味が出た方も多いでしょう。
しかしながら、「4%ルール」を実現するための「不労所得」を得る方法はどのようなものかと感じる方も多いはずです。
そこで、FIREを目指すためのおすすめの資産運用の方法3つを解説していきます。
FIREを目指すための おすすめの資産運用 |
メリット | デメリット |
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不動産投資 |
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株式投資 |
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投資信託 |
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不動産投資(現物不動産投資)
不動産投資は収益用物件(アパート・マンション一室・マンション一棟)を購入して、物件を運用(入居者からの家賃収入・売却益)を狙っていく資産運用方法です。
一般的に、不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」と言われている投資スタイルですが、初期費用に数千万円と費用がかかりリスクが大きいのではないのかと感じる方も多いでしょう。
金融機関 | 概要 |
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日本政策金融公庫 |
【新規開業資金】 |
ノンバンク系不動産投資ローン |
【三井住友トラスト・ローン&ファイナンス】 【新生インベストメント&ファイナンス】 |
オリックス銀行 |
【不動産投資ローン】 |
SBJ銀行 | 【SBJ不動産活用フリーローン「ナイスカバー」】 借入金額:100万円以上2億円以内(10万円単位) |
東京スター銀行 | 【スター不動産担保ローン】 融資額:100万円以上1億円以内 |
現在会社員・公務員で働いている方であれば、金融機関が融資の条件として審査される「属性」についても有利に働くため、投資ローンを組みやすく、FIREまでの資金運用の力を高めることが可能です。
不動産投資 | |
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メリット |
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デメリット |
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株式投資
株式投資は企業が発行している株式を買うことによって、企業の株主となり企業の利益(配当金・分配金)を得たり、企業のサービス(株式優待)をもらう投資方法です。
株式投資は「ハイリスク・ハイリターン」な投資手法ですが、不動産投資との違いとして、株式の売買のしやすさがあったり、管理の手間や、災害リスクがないことがあります。
株式投資を行うのであれば、証券口座についての知識・景気や経済状況をについても調査する必要があります。
株式投資 | |
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メリット |
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デメリット |
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投資信託
投資信託は、株式投資をプロに委託して運用してもらうイメージで、証券会社や銀行、郵便局によって販売・取引されています。
投資信託は、運用会社の専門家が投資家に代わって資産運用し、投資元本の一部を手数料として支払う金融商品です。
株式投資は専門知識が多くて初心者の方では手が出しづらいと感じた方でも、投資信託であれば一度買付申込すれば、その後は自動的にプロが資産運用が可能です。
先ほども解説した、「三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」も投資信託の金融商品で、直近1カ月のトータルリターンは9.59%となっております。
プロに資産運用を任せられる投資信託においても、「株式投資」と同様に「証券口座」についての知識であったり、「投資信託の中身」についても調査しておく必要があります。
しかしながら、「株式投資」に比べて「投資信託」は買いっぱなしでも、着実に資産形成が可能なため、手間がかからないのが魅力です。
投資信託 | |
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メリット |
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デメリット |
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よくある質問
FIREとは英語表記で「Financial Independence, Retire Early」(早期経済的自立)と呼ばれ、頭文字の「F、I、R、E」を取ったものです。
FIREは経済的に自立することにより、会社や社会に縛られることなく、経済的にも自由に生活できる状態、生活スタイルを指しています。
投資元本7000万円で、利回り4%の投資利益を出すことは現実的な数値でもあり、アメリカでも「4%ルール」にてFIREを達成するのが主流となっています。
総務省の平均消費支出をもとに考えると、投資元本7000万円の4%、280万円が投資利益による「不労所得」となり、毎月23.3万円程度利用ができます。
FIREに近づくために、最も効果的な方法は「生活支出」を下げることです。資産所得を伸ばすよりも「生活支出」を下げることの方が効率的かつ効果的です。
FIREを目指す過程で、「倹約スキル」が高まり生活水準を落とすことなく生活支出を下げられるしょう。
「経済ショック」に備えることも、資産運用スキルを高めることもFIREを達成していく中で身につけることで、FIREを達成よりも資産生の高いスキルを身につけられるでしょう。
まとめ|資産形成を続ければ、FIREに近づける
FIRE(Financial Independence, Retire Early)とは、会社や社会に縛られることなく、経済的にも自由に生活ができる状態、生活スタイルです。
よく想像されるであろう、FIREの形(Fat FIRE)を実現するためには、純資産1億円以上が必要となり、一般的な方々の収入状況では難しく、野村総合研究所の調査でも全体の2%程度となっています。
Lean FIRE(倹約的なFIRE)やBarista FIRE(働く頻度を落としたFIRE)であれば、純資産3000万円程度からでも実現可能で、生活に自由度を与えてくれます。
どのFIREを目指すかで難易度は大きく異なってきますが、「FIRE」を目指すことで、「資産形成の力」「倹約の力」が身につき、金融知識が多くなることは間違いないでしょう。
