「田舎に土地を持っているけど、売却できずに放置している」「どのように活用すればいいか分からず悩んでいる」という人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事は、田舎の土地を持て余している人のために田舎での土地活用についてまとめました。田舎での土地活用が難しいとされる理由から、おすすめの活用法まで詳しく紹介しています。
それぞれの活用法のメリット・デメリットや注意点をしっかり理解すれば、土地を活用し収益を得るのも夢ではありません。
Contents
田舎で使わない土地は売却がおすすめだが・・・
土地は、所有しているだけで固定資産税がかかります。
土地を売却すれば固定資産税を支払う必要はなくなるので、可能なら売却がおすすめです。
しかし、さまざまな理由で「土地を手放したくない」「手放せない」という人もいるのではないでしょうか。
その場合は、土地を活用して収益を上げましょう。
本記事では田舎の土地活用が難しい理由から、おすすめの土地活用法まで詳しくご紹介します。
田舎の土地活用が難しい理由
都会に比べて田舎の土地活用は難しいとされていますが、それはなぜでしょうか?主に3つの理由があります。まずは、田舎の土地活用が難しい理由を知りましょう。
- 需要が少ない
- 地形や地質が悪い
- 規制がある
需要が少ない
「田舎」ときくと、のどかな風景を思い浮かべる人がほとんどではないでしょうか。
都会よりも人口が少ないことは容易に想像できるはずです。
例えば賃貸で収益をあげようとしても、需要が少なければ借り手がおらず、成り立ちません。
同じく店舗経営や駐車場経営も赤字になる可能性が高いです。
不可能ではありませんが、初期投資を回収するにはかなりの工夫と緻密な経営戦略が必要になるでしょう。
人口の少ないこと以外にも、需要が低い理由はいくつかあります。
- 駅から遠い、バスが1日数本しか通らないなど交通の便が悪い
- 周囲にコンビニやスーパーがなく不便
地形や地質が悪い
田舎の土地は長く放置されていたり、未開発である場合も多いです。
宅地造成とは農地や森林などを宅地にしたり、宅地に適した性質に変える工事のことです。
宅地造成は、土地の面積や状態によりますが、かなりの費用がかかります。
多額の費用をかけて宅地造成しても、うまく活用できなければ意味がありません。
また、地形が複雑な場合は宅地造成しても建築に制限がかかってしまうでしょう。
規制がある
あまり知られていませんが、田舎の土地には多くの規制があります。主に障害となる規制は「農地法」と「都市計画法」の2つです。
農地法
農地法は、農地に対する規制を指します。
農地を活用したい場合は、以下を参考に転用できるのか事前に確認しておきましょう。
種別 | 可否 |
---|---|
第1種農地 | 原則不可 |
第2種農地 | 周辺の他の土地で代替できない場合等は可 |
第3種農地 | 原則可 |
甲種農地 | 原則不可 |
農用地区区域内農地 | 原則不可 |
転用できない場合は農地として使用する必要があります。
都市計画法
都市計画法の「市街化調整区域」は土地活用に対する高いハードルになります。
さらに許可を得るには、以下の基準に当てはまっていなければいけません。
市街化調整区域内で行う開発行為(第二種特定工作物の建設を目的とする開発行為を除く。)は、
法令に規定する立地基準のいずれかに該当する必要があります。(法第34条各号)
主な基準は以下のとおりです。(開発行為の目的となる建築物等)
●公益上必要な建築物又は日常生活に必要な店舗等(1号)
●鉱物資源、観光資源等の有効な利用上必要な建築物(2号)
●農林水産物の処理、貯蔵、加工等に必要な建築物(4号)
●既存工場と密接な関連を有し、事業の効率化を図るために必要な建築物(7号)
●政令で定める危険物の貯蔵又は処理に供する建築物、沿道サービス施設(給油所など)(8号、9号)
●地区計画等に定められた内容に適合する建築物(地区整備計画等の区域内)(10号)
●条例で区域、目的又は予定建築物等の用途を定めたもの(12号)
※東京都では「都市計画法に規定する開発許可等の基準に関する条例」を定めています。
(①分家住宅、②既存集落内の自己用住宅、③自己用住宅の建替え、④収用対象事業に伴う市
街化調整区域内での移転、⑤既存宅地における建築物の建築)
なお、東京都では11号に規定される条例については定めていません。
●開発審査会の議を経たもの(14号) 等
許可されれば、カフェなどの飲食店や介護施設は建てられます。しかし、許可を得るまでの手続きが面倒に感じる人もいるでしょう。
田舎でのおすすめ土地活用方法8選
それでは、実際に田舎の土地の活用法を紹介していきます。それぞれにメリットとデメリットがあるので、土地の地形や活用目的に合わせて検討しましょう。
- 太陽光発電
- 介護施設経営
- 貸しスペース経営
- 市民農園・貸し農園
- キャンプ場・アスレチック施設経営
- ロードサイト店舗
- カフェ・雑貨店経営
- アパート経営
太陽光発電
太陽光発電は、太陽光発電パネルを設置し、電気を売って利益を得る活用法です。
田舎の土地活用としては非常にメジャーだといえるでしょう。
売電価格も決められているので、安く買い叩かれる心配もありません。
また、集客が不要で、建物が建てられない市街化調整区域でも可能な活用方法なのもメリットです。
ただし、売電価格は下がり続けており、初期投資を回収するまでの期間が長くなっています。
メリット
- 市街化調整区域でも可能
- 集客する必要がない
- 市町村によっては補助金が出る
デメリット(注意点)
- 利益率が低い
- 収益化まで時間がかかる
介護施設経営
介護施設は田舎でも需要が高く、おすすめの活用方法です。
介護施設には、老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)といった種類があります。
介護施設として活用する場合、介護事業者に土地のみ貸す方法と、土地と建物を貸す方法の2種類があります。
建物を貸すと安定した賃料が得られるだけでなく、管理や小さな修繕も借主に任せられるのがメリットです。
しかし、介護業者が倒産すると全室空室になり、家賃収入がなくなるので注意しましょう。
経営基盤の安定した介護業者を選ぶ必要があります。
メリット
- 需要が高い
- 補助金が出る
デメリット(注意点)
- 初期費用が高い
- 市街化調整区域だと建物が建てられない(一部除く)
- 倒産リスクのない介護業者を選ぶ必要がある
貸しスペース経営
土地の広さを生かして、貸しスペースを経営する方法もあります。
主な貸しスペースとしての活用法は、コンテナを建てトランクルームとして保管場所にするか、工事現場で使われる資材を置く資材置き場にするかの2種類です。
貸しスペース経営は比較的長期の契約になるため、安定した収入が得られます。
ただし、土地が以下の地域に当てはまる場合は、コンテナを設置できないので注意が必要です。
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
他にも、田舎は倉庫や蔵がある家も多いため、需要があるかどうか調べておく必要もあります。
メリット
- 初期費用が安い
- 長期で安定した収入が得やすい
- 専門業者がいるのでフランチャイズ契約も可能
デメリット(注意点)
- 立地によっては需要が少ない
- 広いスペースが必要
市民農園・貸し農園
活用したい土地が農地なら、市民農園や貸し農園として希望者に貸し出すのもおすすめです。農地法により農地を転用するのはハードルが高いですが、農園は転用する必要がありません。
貸し農園として借り手を探すなら、eMAFF農地ナビを利用するといいでしょう。eMAFF農地ナビは、全国農業会議所が運営しているサイトです。
農地の情報が航空写真で掲載されているので、農地を借りたい人の情報収集にぴったりです。掲載を希望する場合は、農地の所在地がある農業委員会に申請しましょう。
また、農家の人が指導し、市民が農業を楽しむ市民農園として活用する方法もあります。
もちろん市民農園も農地法の転用許可は不要です。
メリット
- 農地でも可能
- 初期費用が安い
デメリット(注意点)
- 借り手を探す必要がある
- 手続きが必要な場合がある
キャンプ場・アスレチック施設経営
土地をそのまま活用する方法として、キャンプ場・アスレチック施設の経営があります。
キャンプ場は利用者が自らテントを張るので、大掛かりな施設も必要ありません。
また、山林の場合はアスレチック施設を検討してはいかがでしょうか。
ジップラインや、パカブといった人気の遊具を取り入れるのもいいでしょう。
ただしデメリットとして、両方ともケガや火災のリスクがあります。
アスレチックにはネットを張る、火の扱いは十分に説明しておくといった対策が必要です。大きなトラブルにつながる可能性もあるので、対策は徹底しましょう。
メリット
- 初期費用が安い
- アウトドアブームで高い需要が見込める
- 伐採や造成が不要
デメリット(注意点)
- ケガや火災のリスクがあるため、しっかりとした対策が必要
- 集客が必要
ロードサイド店舗
土地が国道に面しているなら、ロードサイト店舗として活用するのもおすすめです。
自分で起業しなくても、出店企業に土地を貸し出す「事業用定期借地方式」なら、安定した地代収入を得られます。
借り手を募集し、応募してきた中から好きな業種を選べるのも魅力のひとつではないでしょうか。
店舗の建設や運営には関われないものの、建築費用も不要で運営も全て任せられるのも大きなメリットです。
また、契約期間満了時には更地で戻ってくるため、解体費用も必要ありません。
一方でデメリットもいくつかあります。
具体的には収入は地代のみなのでほかの活用方法より利益が少ない、収益が上がらず業者が撤退するというデメリットが考えられるでしょう。
メリット
- 長期で安定した収入が得やすい
- 管理業務がほとんど不要
デメリット(注意点)
- 規制されている土地ではできない
- 事業者が撤退するリスクがある
カフェ・雑貨店経営
起業して店舗経営がしたい場合は、カフェや雑貨店の経営を検討してみてはいかがでしょうか。
近年、SNSを活用して集客に成功している店舗も増えてきました。
「その土地ならでは」を生かせるかが成功のポイントになるといえるでしょう。
また、立地も重要になります。いくら素晴らしい店でも、人が来なければ経営は続けられません。
近くに観光地や大きな道路、市街地があるといった、人通りや交通量がある程度見込める土地が向いています。
集客力が弱い場合は、オンラインショップを開設するといいでしょう。
メリット
- 自分で自由な店づくりができる
- 人気店になれば大きな収益が得られる
- 地域貢献につながる
デメリット(注意点)
- 集客が必要
- 立地に大きく左右される
アパート経営
賃貸需要は少ないものの、田舎でも土地活用のひとつとしてアパート経営は可能です。
大切なのは、空室リスクを低くすること。アパート経営では、立地が大きなポイントです。
まずは、以下の条件に当てはまるかチェックしてみましょう。
- 大学が近い
- 会社や工場が近い
- 再開発の予定がある
社宅や寮としての需要があれば、成功する可能性も高くなります。
また、近年増加傾向にある、外国人労働者向けのアパート経営もおすすめです。
ただし田舎でアパート経営をする場合、都会に比べて家賃は安く設定せざるを得ません。
メリット
- 家賃収入が得られる
- 節税効果が高い
デメリット(注意点)
- 空室リスクがある
- 都会に比べ家賃収入は低い
- 建築費用がかかる
田舎で土地活用する際の注意点
田舎で土地活用する際の注意点を紹介します。土地活用を成功させるために不可欠なポイントなので、ぜひチェックしてください。
需要を見極める
それぞれの土地にどんな需要があるかを見極められるかで、成功率が大きく変わります。
残念ながら、田舎の土地は都会ほど需要はありません。
特に立地は需要に大きく関わっています。
複数社に相談する
土地活用は、1人でできるものではありません。土地を活用したいと思ったら、活用を請け負う企業に相談しましょう。
個別に連絡するのが大変なら比較サイトを利用しましょう。複数社の活用プランをまとめて資料請求できます。
それぞれの企業で強みが異なるので、十分に比較検討してください。
田舎で土地活用できなかった場合の対処法
さまざまな活用法があるものの、どれだけ頑張っても収益化が見込めず、断念してしまうこともあるでしょう。
土地活用できなくても、対処法はいくつかあります。諦めず検討してみてください。
- 売却
- 寄付
- 放棄
売却
まず誰しもが最初に考えるのは売却ではないでしょうか。土地によっては、活用するより売る方がハードルが低い場合もあります。
ただし、「需要がない」「地形が特殊」「地質が悪い」といった土地は査定不可になる可能性もあるので注意しましょう。
もし査定不可になった場合は、買取業者に依頼してください。価格は安いですが、基本的にどんな土地でも買い取ってくれます。
寄付
売却が難しければ、寄付するという方法もあります。売却益や活用による利益はないものの、固定資産税の支払いや管理の手間はなくなるのでメリットがあるといえるでしょう。
寄付先は、以下のようなものが一般的です。
- 土地のある市町村
- 企業や学校といった法人
- 個人
ただし、利用価値が全くない土地は寄付を断られることもあります。
放棄
相続で土地を取得する場合、相続時なら放棄することで固定資産税の支払いはなくなります。
ただしほかの財産も一緒に相続放棄しなければならないというデメリットがあります。
土地以外の財産が残っているなら、安易に放棄すると大損する可能性もあるので気をつけてください。
また、相続放棄して固定資産税の支払いはなくなっても、管理義務は残るので注意しましょう。管理できない場合は、相続財産管理人を選任する必要があります。
まとめ
今回は、田舎の土地活用が難しい理由や、おすすめの活用方法について詳しく解説しました。一般的に、固定資産税を考慮すると、売却が最善に思えるかもしれません。しかし、売却は土地を手放すとともに、収益化のチャンスも失ってしまいます。
田舎の土地だからといって放置しておくのはもったいないです。まずは、土地に合ったニーズを見極めるところから始めましょう。
ただし、土地に規制がかかっている可能性もあります。検討している活用法が可能なのかきちんと確かめてから進めてください。
個人で進めるのが不安な場合は、土地活用に詳しい企業に相談しながら行うのもおすすめです。本記事を参考に、自分が所有している土地に適した活用法を見つけていきましょう。